営業パーソンに会社側が求める役割は何なのか?
それは、その会社の業務内容によって随分と異なります。
業種別に解説するのは別記事にて予定しており、本記事においては、多くの企業で共通する事柄を述べたいと思います。
表層的な部分と本質的な面が存在することと捉えていただければ幸いです。
受注
売上額
取扱う商材がある程度決まっています。
あるいは特定のメーカー含むベンダーから仕入れたものを販売する中では、利益額ではなく売上額のみで評価が査定されます。
利益額を問わないのには理由があります。
それは、一定の利幅を確保できる仕組みがあるからです。
主には、メーカーや代理店契約しているベンダーポジションにある企業に多い仕組みです。
また、特定の商材を推すため必然的にプロダクトアウト型の営業になります。
ベンターとのコミットや次年度予算を達成するために、
企業は各部門さらには各営業パーソンへ予算を割り当てるのです。
経営層によって決められたマスタープランにおける、売上額の達成はなによりも優先されます。
ここで強調したいのは、最終的に責任をもつのは事業部長の職責をになう役員です。末端の営業パーソンではないのです。
しかし、多くの場合においてその責任を事業部長は下位職責者へ一端を委譲している点を忘れてはいけませんし、末端の時期から責任感をもって取り組むことが自身の成長に還元されることは言うまでもなく間違いないことです。
利益額
いわゆる粗利のことです。
販売額から仕入れ額の差益が粗利となるわけですが、ソリューションや提案営業を主に得意とする商社において求められます。
案件に合わせて商材を選ぶためマーケットイン型の営業手法といえます。
粗利額だけではなく、売上額も目標として末端まで意識づけされるために、計画の組み立て方や狙う案件の絞り方の工夫が求められます。
つまり、部門による進め方や個人の営業パーソンの属人性が濃く反映されます。したがって成果の差がより顕著にあらわれます。
また、利益額はお客からみた営業品質を図る指標と言われてきました。
お客が欲しい商材は、自社以外からも購入することが容易です。
つまり、自社から購入してもらうために粗利を確保しつつ様々な角度から提案を試みるわけです。
また、案件ごとに営業個人が仕入れ交渉にあたる場面もしばしばです。「この営業なら決めてくれる」といったように仕入れ先との関係性も重要な要素になります。
このように書くと、難易度が高いと思われる一方では、
営業パーソンの自由度が高いため飛躍するチャンスは多いでしょう。
販売数
仕入れ先のベンダーと契約した内容に販売数がコミットされています。
ベンダー側は、一定以上の販売見込みを確保できる一方で、
仕入れる側は、一定の利幅を確保して販売に専念できるという双方の利点があります。
そのため、営業パーソンはより短期間に少ない工数でより多くの商材を販売する思考で突き進めるわけです。
いずれにしても、ベンダー側と有利に交渉できるようにコミットした販売数を決めることで次年度以降もより優位にすすめる狙いを押さえておきたいと思います。
これは、すべては競争に勝つための組織的な戦略のひとつです。
一方では、ベンダーを選定するセンスを問われますし責任者の交渉力も求められる点を補足します。
わたしも、なぜこんなしょうもない商材を選んだのかと責任者のセンスを疑うケースは山ほど経験しております。
それは、責任者側も本音では理解しているものです。
翻って、売りにくいものを工夫して進めるのは営業力が底上げされるということもわすれてはならない点です。
新規開拓
企業にとって、増収増益は重大な使命です。
あなたの職場でも、絶えず前年対比の増減を気にしているのではないでしょうか。
新規顧客開拓には、段階がいくつかあることをまず説明します。
現在は、インターネットによる情報から流入すされるリードによって新規顧客になる事例が大半を占めるのではないかとみられます。
各企業においては、商材の特性や業界によって求める選ぶ方向性は実に様々です。
新規開拓には大まかに2種類の軸で考える必要があります。
必然的に、営業パーソンはこの2つの軸において開拓することを会社側から求められるのです。
顧客開拓
基本的には、現在の会社が運営でき、各社員が給与を得られるのは既存の顧客からの収益によるものです。
だから、企業は既存顧客を離すまいと必死に努力するわけです。
特に優良顧客とされる顧客には、優秀な社員が当てられます。
しかし、多くの場合において、表向きには担当する営業パーソンも事務的(アシスタントポジション)なもので、
実際はマネジメントを兼ねた役職者が仕切っているのが実情です。
経験豊富で事務作業にも一定のスキルがあり、クセが少ない堅実タイプが好まれる傾向があります。
各顧客からの売上を維持するために、減らさない理由づけを考え業務にあたることが大前提です。
一方で、顧客内でのシェア拡大の余地があれば、機会を常に念頭に置いてチャンスをうかがうことになります。
新規顧客開拓と違い、良くも悪くも顧客体験が済んでいる状態ですから、商談は比較的にスムーズです。
しかし、一度でも離れた顧客を再び戻すことは容易なことではありません。フラットな関係の新規開拓よりも難易度は高いはずです。
この顧客開拓とは、顧客単価を増やすことを意味します。
限られた顧客数であれば、顧客からの売上を増やす以外に収益を増やす方法はありません。
市場開拓
既存顧客の重要性をお伝えしましたが、永続的に得られるものではありません。
顧客の事情によって利用が減少したりと、常にリスクが付きまといます。
新たな見込み客を顧客化し、その数を増やさない考えはありません。
顧客というパイを増やすことは企業の危機管理、リスク分散としても基本的案考え方です。
テレアポなどのアプローチから進める場合や、リードを得た状態で営業パーソンが巻き取るなどの役割範囲は企業環境によって多様です。
商談はしたいが、テレアポなどは苦手などどいう声をよく聞きますが、はなはだ疑問です。
ポイントを訴求して面談の約束を取りつけるスキルのない人が、
より難易度が高いはずの商談でよりよい結果を出せるはずがないということです。
役割分担と効率化の観点では合理的なすすめかたといえますが、
少なくとも高単価な商材の場合においては営業パーソン自身が一連の業務をすることが望ましいと考えています。
新規の優良顧客から大型案件を受注したとあっては、企業全体が活気づきます。しかし、企業の身の丈に合わない受注はかえってマイナスになります。生産や商材の確保、人員リソース不足などにより顧客からの期待に応えられない場合があるからです。また、既存顧客への注力もおろそかになるリスクを考える必要があります。
顧客ロイヤリティの向上
営業パーソンの役割として、売上や利益を増やすことと話しましたが、実はそれ以上に重要な役割があります。
これは、役割というか本質的な存在価値といえます。
それは、ひとえに顧客の自社に対するロイヤリティを維持向上させるという観点です。
昔は、よくファンを増やせといわれていました。
これは、顧客側が企業側に絶大な信頼を寄せている状態のことです。
極端な話をすると、売り込まれなくても商材を購入し、あるいはそれ自体を実質任せるという関係性を理想としている考えです。
しかし、これには大きな落とし穴があるのをご存じでしょうか?
継続性を伴うという点です。
一度上がった期待値を下げることは、ブランドの廃退を意味します。つまり担当者が替わっても世代が交替しても一定以上の価値を提供する必要があるわけです。
営業パーソンは、その企業価値や商材の利用価値を言語化して訴求するという視点です。
とある有名な飲食店経営者が語られたことを紹介します。
「儲けることと儲かることは違う」と。
情報
会社側は、営業パーソンに日々報告を求めています。
スキルの過不足などの個人的な事柄以外に、なにか問題はないか?問題が生じるリスクはないか?や、
案件の進捗に加えて新たな施策のための情報収集も重要な目的です。つまり現場の情報(声)から、危機管理と機会獲得を図っているといえます。
組織は変化に強いものが生き残ります。
ビジネスにおいて強者は変化への対応力を常に意識しているのです。
企業側も、営業パーソンをとおして仮説と検証を行っていることを認識すれば、どのような情報をどのように報告するべきかが見えてくるはずです。
市場調査
顧客や取引先と日常的に情報交換する営業パーソンは、新しい情報を得ることができます。
また、優れた方なら何らかの兆候を早い段階から察知することができるでしょう。
特に、競合他社に関する動きや顧客の反応であったり、顧客の組織内での変化や顧客を取り巻く環境の動向には常に注意を向けておく必要があります。
極端な話、昨日訪問した際には変わった様子がなかったのに、
「倒産していた!」や「取引先が買収されていた!」なんてこともそんなに珍しいことではありません。
えー!急すぎる!といっても待ってくれません。
そんな情報が流れるわけないじゃないか。なんて思いますか?
情報は言語や文字だけではありません。
社内の雰囲気、社員の表情やふわっとした何気ないつぶやきを感じ取れていますか?